マインドフルネスで「否定的な思考・つらい気分」を遠ざける方法とは!?5分で「今・ここ」に集中するやり方を教えます!

心理学

悲しみ、寂しさ、怒り…。「つらい気分」をすぐになんとかしたい、と思っていませんか?

実は、マインドフルネスを実践すれば、すぐに「ネガティブな思考・感情」を遠ざけることができます。

なぜなら、つらい気分やネガティブな考えは、「過去の記憶」や「将来への不安」から生まれるので、「今・ここ」に意識を集中することで、過去や未来から遠ざかることができるからです。

この記事では、「今・ここ」に集中する「マインドフルネス」の方法についてご紹介します。

記事を読み終えると、5分で「ネガティブな思考・感情」を遠ざけることができるようになります。

「ネガティブ思考・感情」を解消するにはワークが必要

別稿で、つらい気分をつくり出しているのは「自動思考」、さらにはその背後にある「スキーマ」であることを説明し、その対処法についてご紹介しました。

ご紹介した方法は、「認知行動療法」や「スキーマ療法」に基づくテクニックで、精神医学的、心理学的にエビデンス(効果)が確かめられています。

きちっとしたワークを行えば、誰でも、効果を実感できるのです。

しかしながら、つらい気分をすぐに何とかしたい、という場合は、「マインドフルネス」を実践してみることをオススメします。

もちろん、「認知行動療法」「スキーマ療法」と「マインドフルネス」を併用することもできますし、むしろ、そうすることによって相乗効果が生まれます。

「マインドフルネス」なら即効性がある!

マインドフルネスとは

※本稿では、引用部分を〈 〉で表すこととします。

マインドフルネス(mindfulness)は、〈今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること〉です。[Wikipedia マインドフルネス

別稿でも触れましたが、マインドフルネス(Mindfulness)の「マインド Mind」とは、下図にある「考え・思考 Thoughts」「感情・気分 Feelings」とはまったく別の意味で使われています。

「考え」や「感情」のどちらでもなく、これらを見守る「心」や「気づき」と考えればいいかと思います。

そうすると、「マインドフルネス」とは、「気づきで(mind)・満たされている(-full)・状態(-ness)」を意味していることが理解できますね。

じっさい、ベストセラーとなった解説本には、次のような定義づけがあります。

マインドフルネスとは、自分の体や頭や心のなか、さらに身の周りに起きていることに意識を完全に向けること。批判や判断の加わらない「気づき」

「今、ここ」に意識を集中する練習』P14
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「今・ここ」に集中する意義

マインドフルネスを通じて、「今・ここに」集中することの効能は3つあります。

人生の「失っている時間」を取り戻す

私たちは、(睡眠時間をのぞいて)起きているほとんどの時間、4つの状態のいずれかにいます。

  1. 心が無意識にいる
  2. 心が過去にいる
  3. 心が未来にいる
  4. 心が空想の世界にいる

「1.」は、通勤通学の電車を乗り換えるために足早に歩いている時間、車を運転している時間など。あとから振り返って見ても、自分が何を見て・どこを通過して…などを覚えていることは稀でしょう。

慣れている行動(ルーティンワーク)なので、身体が勝手になんでもやってくれている状態、つまり、無意識の状態です。

「2. 3. 4.」は、電車の車内でスマホを見ている時間、テレビを観ている時間、あるいは、テレビを観ながら食事をしたり、家族の会話を聞き流している時間など。

つまらない授業を聞いている時間、どうでもいい会議に出ている時間も同様です。

無意識ではないにせよ、「心は、今・ここにあらず」の状態です。

マインドフルネスでは、こうした時間のあいだ、〈人生の多くを失っている〉と考えます。
なぜなら、このような状態には、現実が存在しなからです。

〈現実は今いるこの場所にあり、みなさんが本当に生きているのは、「今」という時間だけです〉。[『「今、ここ」に意識を集中する練習』P20]

逆に、心を「今・ここ」に戻せば、人生の「失っている時間」を取り戻すことができるのです。

「不安」から遠ざかる

不安やつらい気分は、「過去や未来を考えること」によって生まれます。

ほとんどの場合、ネガティブな気分・感情は、幼少期のつらい体験に起因していて、それが「未来の行動指針」(信念・価値基準)というかたちで、心のなかに定着してしまっていることは、「スキーマ」の記事で紹介したとおりです。

つまり、〈不安は、過去と未来を考えることによってかき立てられます。それらの考えを取り除くことにより、不安は消えて心は落ち着きを取り戻します〉。

そのような考えを取り除くには、〈一時的に心から「思考」のエネルギーを取り去り、それを、現在を意識する方に使うことです。このように意図的に心を「気づき」で満たすことが、マインドフルネスの本質〉なのです。

そして、心を「気づき」で満たすために、〈リラックスしていながら意識が集中している状態〉をつくり出すことが、「マインドフルネス」実践の主眼となります。[P28]

本稿では、その実践方法を後ほど紹介していきます。

多くの「幸せ感」を生きる

人生の「失っている時間」を取り戻し、「不安」を遠ざけることもできれば、「ネガティブな思考や感情」が減っていきます。

そうすると、必然的に、ポジティブな時間が多くなることになります。

多くの「幸せ感」を生きる、というのがマインドフルネスの目指すところになります。「引き寄せの法則」とは違ったかたちでの、幸せの実現方法ですね!

5分でできる「マインドフルネス」実践方法

さて、いよいよ、「マインドフルネス」の実践方法です。

今日から使える 認知行動療法』から2つ、『「今、ここ」に意識を集中する練習』から5つ、5分でできるワークを紹介します。

葉っぱに思考をのせて流す

川べりに座る自分を頭に思い浮かべます。

そして、たくさんの葉っぱが川面に落ちてきて、下流へとゆっくり流れていく様子をイメージします。

そこにあなたのネガティブな「考え」(例:私は失敗してばかり。だめに決まってる。)を乗せて、どんどん流れ去っていく様子を静かに眺めます。

これは、英語で「Leaves on a Stream Exercise」(「流れる葉っぱ」エキササイズ)といって、有名なトレーニング法です。

下の画像のような情景を思い浮かべるといいでしょう。

〈思考を真実と思い込まず、「ただの思考」として眺めることで、心をつらくする言葉の力に飲み込まれにくくなります〉。 [『今日から使える 認知行動療法』P84]

葉っぱとともに流れ去っていく「思考」と距離を置き、「今、ここ」にいる自分にだけ、意識を集中させます。

スクリーンに映る自分を眺める

次は、「シアター鑑賞トレーニング」です。

映画館の真ん中の席に、一人だけで座っているあなた自身の姿を思い浮かべます。

スクリーンには、いつもの通り、ネガティブ思考を抱え「つらい気分」でいるあなたの姿が映っています。

偏った思考にとらわれているスクリーン上のあなたの様子を、ただ静かに見つめます。
今、スクリーンに映るあなたは「他人」です。

〈「あのひとはそう思っているんだな」と、静かに距離を置き〉、「今、ここ」にいる自分にだけ、意識を集中させます。[『今日から使える 認知行動療法』P85]

身の周りの音に耳を澄ます

私たちの耳は、(可聴領域にある)身の周りのすべての音をとらえています。

可聴領域とは、人間の耳がキャッチできる「20Hz〜20,000Hzの周波数」という意味です。

この周波数の音はすべて耳がとらえているのですが、カフェでの会話、地下鉄内の車内放送、運転中のカーナビの案内など、その時々で必要な音情報を聴き取るために、ほかの音は脳がブロックしているのです。

ふだん「聴いていない」音に注意を集中するのは、マインドフルネス実践の良い方法です。

耳を澄ます練習は、心を鎮めるのにとても効果的です。音に関心を引かれるようになると、もっと意識を集中して聴きたくなります。真剣に耳を澄ますためには、心のなかの声にしばらく黙っていてもらわなければなりません。[P75]

「今、ここ」に意識を集中する練習

したがって、この方法は、〈際限なく反芻される不安から心を切り離す〉ことにとても効果があります。[P75]

とくに、〈かすかな音を聴き取るためには、心はきわめて静かでなくてはならない〉ので、 「リラックス&意識集中」という状態をつくり出すための優れた実践方法といえます。[P76]

木々に目をとめる

樹木は酸素をつくり出すので、動物や人間にとって欠かせないのは言うまでもないとして、葉が色を変えたり、実をつけたりと、年間を通じて、季節感を味あわせてくれますよね。

風に揺れる枝や葉の動き、枝に止まる小鳥たちや、根本近くにいるスズムシやコオロギの声、さらに、冬に枯れ葉の上を歩く時のカサカサという音… 木々はたくさんのリラックスを与えてくれます。

一方、マインドフルネスでは、とくに視覚にフォーカスして、木々のいろいろな面に注意を向けることを提唱しています。

樹形(でっぷりしているか、ほっそりしているか。すっきりしているか、こんもりしているか)、幹の高さ、枝の張り方、葉っぱの色や形。ただし、分析を始めてはいけません。単に意識を向けて愛でます[P113]
通りすがりの木々や草に目をとめ、同じ緑色でもさまざまな色合いがあるのだと気づくだけでも、素晴らしいマインドフルネスの実践です。[P114]
人間は20万年ものあいだ、草木と緊密な関係をもちながら進化を遂げてきました。
この練習をすると、身の周りのあらゆる生命の存在に意識が広がり、それが現代人の多くを悩ませている「寂しさ」を解毒剤のように消してくれます。 [P117]

「今、ここ」に意識を集中する練習

最後に、もうひとつ、とっておきのノウハウを引用しておきます。

自分の意識を木の意識と一体にするのです。湿り気をおびた地中深くの根っこの先端を想像し、そのイメージを上に移動させていき、最後は風にそよぐ頂点の葉っぱを思い浮かべます。そして自分の悩みについて「あなたはどう思う?」と木に尋ねます。私はこれでずいぶん救われます。[P115]

「今、ここ」に意識を集中する練習

じつは、「木々に目をとめる」と同じようなことを、田坂広志氏が、ベストセラーとなった著書のなかで述べています。

こうした自然の持つ「心の浄化力」は、ただ、表面的に気持ちが爽やかになり、心が洗われるようになるということだけではない。それは、確実に、我々の無意識の世界のネガティブな想念を洗い流し、浄化してくれる力を持っている。[P137]
[中略] ここで向き合う自然は、決して、有名な観光地の絶景の自然である必要はない。それは、近くの公園の緑でも良い、日々目にする何気ない路傍の木々や草花であっても良い、大切なことは、その自然に虚心に向き合うことである。[P139]

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私は、とくに夕闇が部屋に染み込んでくる頃、孤独感・空虚感をつよく感じることが多いのですが、 そのような時間帯に外に出て、マンション敷地内の遊歩道をゆっくり歩き、木々に目をとめることにしています。

朝起きるときも、寝室の窓から木々の枝越しに青空を見ることで、一日をスタートさせます。

つらい気分や憂鬱感を緩和するのに、絶大な効果があります!

高いところを見上げる

1日に何度か、意識して高いところを見上げます。
単純なことですが、とても効果があります。

できれば外に出て、高いビルやマンション、木々のこずえ、山の上方、空などを見上げ、数分間、じっくり眺めます。

〈上方を見上げると視野が広がるので、狭い世界に閉じ込められていた心を解放〉 してあげることができます。[P161]

直接視界に入っているものでも、人は案外見ていません。[P161]
「見る」という行為は、「目に映る」ということとは違います。何かを見るためには、視力だけでなく注意力も必要です。[P161]
上を見上げることによって、自分が生きている世界が広がり、多くのもの(鳥とか)や現象(虹とか)をそのなかに取り込むことができます。視野が広がると、自分に対する認識もまた広がります。「私、私の世界、私の悩み」と呼んで閉じこもっている小さな箱から、抜け出すことが可能になります。[P162]

「今、ここ」に意識を集中する練習

これは、「木々に目をとめる」ことと併せて、実践してみて下さい。

足もとの地球を意識する

「木々」、「高いところ」と、上方に注意を向けたので、今度は、下に意識を向けます。

私たちの足もと、歩みを支え、命を支えているのは、大地、つまり、地球です。

私はそのことをまったく意識せずに生活をしていますが、自分を支えてくれているこの地球に、意識を向けます。

〈何かで頭がいっぱいで「今このとき」に集中できなかったり、くよくよ考え込んだりしていると、簡単に心身のバランスを崩します〉が、足もとの「大地=地球」を意識することで、深い勇気を与えられます。[P183]

意識が足の裏から地中にまで伸びていると、根が生えたようにしっかりして、どんな思考や感情にも、予期せぬ出来事にも、簡単にぐらつかなくなります。[P183]

「今、ここ」に意識を集中する練習

「木々に目をとめる」、「高いところを見上げる」ワークと一緒にやってみるといいでしょう。

匂いや香りを意識する

さて、何らかの「状況」が発生したとき、「考え」「感情」「身体反応」「行動」の一連の流れはほとんど一気に起こるため、それぞれの段階を意識することは困難です。

順番も、状況によって、「考え」が先行したり、「感情」が先に来たり、まちまちです。

ところが、〈匂いに関する反応の場合には、この連鎖を理解することが可能です〉。[P171]

たとえば、外へ出て深呼吸をしたとたん、何かの匂いを感じて、心のなかでたじろいだとします。
何かの化学物質の分子が鼻孔の内部に達すると、人は匂いを「知覚」します。
そのとき、脳がその正体を知る前にネガティブな「気分」が呼び起こされたのです。
それから脳は、それが何かを突き止めようとします。「あ、犬の糞だ!」。これが「認識」の段階で、そのあとに意思的な「行動」が続きます。[P171][改行はサイト管理者]

「今、ここ」に意識を集中する練習

つまり、上図の表現に即して言うなら、嗅覚の場合は、必ず、状況→「感情」→「考え」→「行動」という連鎖になるのです。

また、人間の五感のうちで、嗅覚は〈視覚や聴覚に比べると、記憶を呼び起こす作用が強い〉ことが分かっています。[Wikipedia 香りと記憶

鼻の奥にある匂いに反応する細胞は、感情や記憶をつかさどる脳の原始的な部分からわずか シナプス2つ分しか離れていません。そのために匂いは、欲求や嫌悪などの条件づけられた反応を強力に引き出すのです。[P168]

「今、ここ」に意識を集中する練習

「アロマテラピー」が、リラクゼーションやポジティブな条件づけに効果があるのも、嗅覚の持つこうしたメカニズムに拠るのです。

「匂いや香りを意識する」とは、「今・ここ」で起きている嗅覚反応を通じて、「感情/気分→思考」の連鎖に気づくことに他なりません。

最後に、アロマテラピーで使う精油(エッセンシャルオイル)の「種類と心理的効能一覧」が載っているサイトがありますので、ご紹介します。

アロマの効能一覧|205種類のアロマオイル(精油・エッセンシャルオイル)紹介
精油の効果・効能 できるだけ沢山の種類の精油を紹介するために、205種類の精油とその心理作用についてまとめてい…

まとめ

本記事では、「今・ここ」に集中する「マインドフルネス」の方法についてご紹介してきました。

つらい気分やネガティブな考えは、「過去の記憶」や「将来への不安」から生まれるので、「今・ここ」に意識を集中することで、過去や未来から遠ざかることができるようになります。

最後に… 関連記事を Twitter でつぶやいています。
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