タイトル画像 Utthita Parshvakonasana by Nina Mel, Yoga Teacher
健康・美容に良く、マインドフルネス効果も高いヨガ。でも、「どうしてあのようなポーズをとるの?」と思っていませんか?
実は、ヨガのポーズ(アーサナ)は「背骨を正す」ことを第一の目的にしているんです。
なぜなら、背骨を正すことによって、背骨に沿ったプラーナ(生命エネルギー)の循環が良くなり、自律神経も整ってメンタルがポジティブになる効果があるからです。
現代ヨガのポーズを実践することによって、伝統的ヨガが目指した「精神統一」に近づくことができるのです。
この記事では、「ヨガのポーズ」が生まれた経緯やその意義についてご紹介します。
記事を読み終えると、ヨガを行うときに、「背骨の状態やプラーナの流れ」を気づかいながら、「呼吸や身体動作」に意識が向かうようになり、マインドフルネス状態が高まり、リラクセーション・健康効果もアップするようになります。
ヨガとは
※本稿では、引用部分を〈 〉で表すこととします。
ヨガ(= ヨーガ)は、〈心身、感覚器官を鍛錬によって制御し、精神を統一〉する行法です。[Wikipedia ヨーガ]
インドで生まれたヨガには、大きく分けて、「古典ヨーガ」と「ハタ・ヨーガ」という2つの流れがあります。[Wikipedia ハタ・ヨーガ 概要 より]
- 古典ヨーガ:心の作用の止滅を目指したもの。
- ハタ・ヨーガ:生理的・身体的な修養を軸とするもの。
以降、この2つの流れを歴史を追って見ていきます。
ヨガの歴史
ヨガ(yoga)という言葉
ヨガ(= ヨーガ)は、〈紀元前2500年-1800年のインダス文明に、その遠い起源を持つ〉ともいわれています。[Wikipedia ヨーガ以前]
下の画像にあるように、〈1921年にモヘンジョ・ダロとハラッパーの遺跡を発掘した考古学者のジョン・マーシャルらは、発掘された印章に彫られた図像を、坐法を行っているシヴァ神の原型であると解釈〉しています。[Wikipedia ヨーガ以前]
数千年もの長い歴史をもつ「ヨガ」ですが、その本質を探るために、まずは語源を見てみることにします。
サンスクリット語のヨーガ (योग) は、「牛馬にくびきをつけて車につなぐ」という意味の動詞 根√yuj(ユジュ)から派生した名詞で、「結びつける」という意味もある。
Wikipedia 「ヨーガ」という言葉
つまり語源的に見ると、牛馬を御するように心身を制御するということを示唆しており、「軛(くびき)」を意味する英語 yoke と同根である。[改行はサイト管理者]
yoke を語源辞典で調べると、元々の語源は、印欧祖語(Proto-Indo-European Language)の *yeug- で、join(加わる)、joint(接合部)なども同じ仲間の単語です。
アーリア人が紀元前12世紀頃に編纂した、古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』には〈『精神統一や瞑想を意味する yoga の用法はほとんど見られない〉ようです。[Wikipedia 「ヨーガ」という言葉]
〈ヴェーダの時代には、「ヨーガ」やその動詞形の「ユジュ」といった単語がよく登場するが、これは「結合する」「家畜を繋ぐ」といった即物的な意味で、行法としてのヨーガを指す用例はない〉のです。[Wikipedia ヨーガ以前]
中央アジアからインドに侵入し、支配民族となったアーリア人にとって yoga はまず、〈幸せを獲得すること〉でした。[Wikipedia 「ヨーガ」という言葉]
そして、yoga には、〈「牛馬にくびきをつけて車につなぐ」から派生し、乗り物、実施、適用、手段、方策、策略、魔術、合一、接触、結合、集中、努力、心の統一、瞑想、静慮(じょうりょ)という意味がある〉といいます。[Wikipedia 「ヨーガ」という言葉]
つまり、〈最初は具体的にものを結び付けるという意味で使われ、次いで抽象的なものの結びつきについて使われるようになり、さらに心と対象との結びつきを意味するようになったと考えられる〉というのです。[Wikipedia 「ヨーガ」という言葉]〈その後、先住民(ドラヴィダ人)の土着信仰がアーリア人の正統バラモン思想圏に取り入れられる中で、瞑想や修行を基礎とする宗教的な行為としてのヨーガの思想実践が発展していった〉とされています。[Wikipedia ヨーガ以前]
アーリア人の思想「梵我一如」
アーリア人の信仰であるバラモン教の聖典を「ウパニシャッド(奥義書)」といいます。
宗教文書「ヴェーダ」(紀元前1000年頃〜紀元前500年頃)の関連書物にあたります。
ウパニシャッドは、「大宇宙と個々の人間の本体は同一」であること、すなわち「梵我一如」を基本思想にしています。
多様多彩で変化し続けるこの現象世界には、唯一不変の実体(ブラフマン、梵)がその本質として存在し、人間の個体の本質(アートマン、我)はブラフマンと同一であるという梵我一如の思想である。
Wikipedia ヨーガ以前
個人の本体は大宇宙の本体と同一であり、何らかけたところのない自身の本体を把握する者は、大宇宙の本体を我が物とできると考えられた。[改行はサイト管理者]
ヨガの成立
「ヨガ」という言葉は「精神統一」を意味する、とよくいわれますが、そのような語義を持つようになったのは、yoga という言葉が成立してからかなり後の時代です。
ヨーガという語の記録(紀元前5世紀)
〈ウパニシャッドの時代では、単語としての「ヨーガ」が見出される最も古い書物は、紀元前500年−紀元前400年の「古ウパニシャッド初期」に成立した『タイッティリーヤ・ウパニシャッド』〉ですが、この書物では、〈ヨーガの意味は「不明」である〉といいます。[Wikipedia ヨーガ以前]
仏教
二人のバラモンのもとで学び始めたブッダは、さまざまな曲折を経たのち、菩提樹の下で瞑想し、悟りにいたりました。
そのときの方法を「止観」といいます。
- 「止」:心の働きを止滅させる瞑想。いわゆる「禅定」。
- 「観」:事物を真理に即して正しく観察すること。いわゆる「智慧」。
〈ブッダは止により、人間の苦の根本原因が無明であることを自覚し、十二因縁を順逆に観想する観によって無明を脱した〉とされています。[Wikipedia 止観]
ヨーガの説明記録(紀元前4世紀)
〈ヨーガの最古の説明が見い出すことができる〉のは、〈紀元前350年-紀元前300年頃に成立したのではないかとされる「中期ウパニシャッド」の『カタ・ウパニシャッド(カータカ・ウパニシャッド)』〉においてです。[Wikipedia 古典ヨーガ以前]
「中期ウパニシャッド」は、ブッダ以後に成立しており、心の働きを止滅させる仏教の瞑想、すなわち「禅定」の行法も記載されています。
感覚・心・知性の統御
さて、その『カタ・ウパニシャッド』において、〈ヨーガが初めて内面的修養法をはっきりと指すようになり、知覚器官、マナス、ブッディが徹底的に統御された状態がヨーガであり、それが最上最高の境地であり、自己認識がヨーガの崇高なる目的であるとされて〉います。[Wikipedia 古典ヨーガ以前]
「知覚器官、マナス、ブッディ」は、英語版 Wikipedia では「senses, mind, intellect」となっています。
つまり、「感覚、心・精神、思考・認識・知性」ということですね。
呼吸法
その後、後期ウパニシャッドにおいて、〈呼吸の統御について書かれ、コントロールが困難な馬を繋いだ車を御するようにマナスを抑制し、呼吸を統御し、整えながら、鼻から息を吐くという方法が示され〉ました。[Wikipedia 古典ヨーガ以前]
体系化
ヨガが初めて体系化されたのは、『マイトリー・ウパニシャッド』という書物で、行法(瞑想)の解説と方法が書かれています。
ここには、プラーナーヤーマ(呼吸法)はありますが、アーサナ(座法=ポーズ)はまだ登場していません。
基本経典『ヨーガ・スートラ』(4〜5世紀頃)
紀元後4〜5世紀頃には、瞑想を主テーマとする『ヨーガ・スートラ(瑜伽経)』が編纂されました。
ここでは、ヨガが次のように定義されています。
ヨーガとは心の作用を止滅することである (『ヨーガ・スートラ』1-2)
Wikipedia 古典ヨーガ
その時、純粋観照者たる真我は、自己本来の姿にとどまることになる (『ヨーガ・スートラ』1-3)
アーサナ(座法)
『ヨーガ・スートラ』は、ヨガの「基本教典」とも言われており、下記の8段階からなる実践マニュアルが含まれています。
- ヤマ(禁戒)
- ニヤーマ(抑制、勧戒)
- アーサナ(座法)
- プラーナーヤーマ(調気法、呼吸法を伴ったプラーナ調御)
- プラティヤーハーラ(制感、感覚制御)
- ダーラナー(凝念、精神集中)
- ディヤーナ(静慮、瞑想)
- サマーディ(三昧 = 精神集中が深まりきった状態)
この教典では、〈第2章49-53節において、プラーナーヤーマの簡単な説明〉があります。[Wikipedia プラーナーヤーマ]
また、「アーサナ(座法=ポーズ)」が登場していることに注目してください。
そして、〈10世紀に入ってからアーサナの詳しい説明のある文献が現れた〉といいます。[Wikipedia 中世]
ハタ・ヨーガの登場
12〜13世紀になると、動的なヨガ、すなわち「ハタ・ヨーガ」と呼ばれる流派が現れました。「ハタ Hatha」とは、サンスクリット語で「力」「強さ」を表す言葉です。
最古のハタ・ヨーガ
ヒンドゥー教・シヴァ派の聖者ゴーラクシャナータは、人体の会陰部に眠る「低次の女神シャクティ」を、頭頂にある「純粋精神」にまで昇らせ、〈この二元を合一させ至高の歓喜を得ること〉をハタ・ヨーガの目的と考えていました。[Wikipedia ハタ・ヨーガ]
「純粋精神」とは「最高神シヴァ」のことです。
「女神シャクティ」は、個我を形成する低次のレベルにあり、会陰部で「とぐろを巻いた蛇 = クンダリニー」として眠っていますが、これをハタ・ヨーガによって目覚めさせ、「創造の意欲」に高めることを説いたのです。
ゴーラクシャナータは、土着的民間伝承によって、最古のハタ・ヨーガの聖典『シッダ・シッダーンタ・パダッティ』を著したといわれています。
根本経典
16〜17世紀になると、〈「心のはたらきの止滅」の土台作りのための身体技法(アーサナ、呼吸法、浄化法、食事法など)〉を掲載した事実上の根本教典『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』が現れています。[Wikipedia 中世]
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』を著した行者スヴァートマーラーマによると、〈ハタ・ヨーガとはより高いレベルの瞑想[中略]に至るための準備段階であり、身体を鍛錬し浄化する段階〉です。[Wikipedia ハタ・ヨーガ]
〈『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』は
- アーサナ āsana (体位法=調身)
- プラーナーヤマ prāṇāyama (呼吸法=調気)
- ムドラー mudrā (印=秘密の方法)
- ラージャ・ヨーガ rāja yoga (瞑想法=調心)
の四章から〉なっています。[ハタ・ヨーガの身体観とヨーガの思想]
4 は、「古典ヨーガ」を踏襲したもの。
1 ~ 3 は、「ハタ・ヨーガ」で新たに追加されたもので、瞑想に入るための身体技法のメニューです。
プラーナーヤーマ(調気法)
『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』では、〈2章の全78節を使って、詳細にプラーナーヤーマの方法が説明され〉ています。
プラーナーヤーマとは、〈サンスクリットで「気息、呼吸」を意味する「プラーナ」(प्राण, prāṇa)と、「制御、制止、延長」を意味する「アーヤーマ」(आयाम, āyāma)からなる合成語〉です。
ただし、「プラーナ」は、〈単なる「息」ではなく、身体内外に存在する「生命エネルギー」のことであり、「プラーナーヤーマ」も単なる「呼吸法」というよりも、身体内外の生命エネルギーの調節(「調気法」)を意味〉しています。[Wikipedia プラーナーヤーマ]
さて、前に触れたように、シヴァ派の聖者ゴーラクシャナータは、人体の会陰部に眠る「低次の女神シャクティ」を、頭頂にある「純粋精神」にまで昇らせ、〈この二元を合一させ至高の歓喜を得ること〉を唱えました。
このことについて説明している記事を引用します。
性的なエネルギーを上昇させ、昇華させ、<性>を<聖>に転化させるというのが、ハタ・ヨーガの基本的な考えである。
ハタ・ヨーガの身体観とヨーガの思想
ハタ・ヨーガの身体論では、身体にはナーディ nāḍī という血管のような管が走り、プラーナ prāṇa という生命エネルギーが流れているとされる。これは、中医学における経絡と気の考えに相当する。
また、背骨と並行する最も太いナーディ(スシュムナー・ナーディ suṣumnā nāḍī)に沿ってチャクラ cakra(輪)という節が並んでいるとされる。
ハタ・ヨーガでは最下部、会陰(または仙骨)のムーラーダーラチャクラ mūlādhāla cakra にクンダリ[ニ]ー kuṇḍal[in]ī という蛇、ないしシャクティ śakti という女神によって象徴される[女]性的なエネルギーが眠っており、これを目覚めさせ、スシュムナー・ナーディに沿って頭頂まで引き上げることにより、解脱の境地に至る。[改行はサイト管理者]
チャクラ(エネルギーセンター)
「チャクラ(chakra)」とは、サンスクリットで「円、円盤、車輪、ろくろ」を意味する言葉で、下図のように、人体の頭部、胸部、腹部などにあるとされています。
「エネルギーセンター」とも呼ばれます。
それぞれのチャクラについて、「Wikipedia チャクラ」を参考にご紹介します。
- 第7チャクラ:サハスラーラ(sahasrāra)。頭頂に存在。身体次元を超越しているためチャクラのうちに数え入れられない説もあります。
- 第6チャクラ:アージュニャー・チャクラ(ājñā-cakra)。眉間に存在。「マナス = mind」(意、心・精神)と関係があります。
- 第5チャクラ:ヴィシュッダ・チャクラ(viśuddha-cakra)。喉に存在。虚空(アーカーシャ)の元素と関係。
- 第4チャクラ:アナーハタ・チャクラ(anāhata-cakra)。胸に存在。風の元素に関係。
- 第3チャクラ:マニプーラ・チャクラ(maņipūra-cakra)。腹部の臍のあたりに存在。火の元素に関係。
- 第2チャクラ:スワーディシュターナ・チャクラ(svādhişţhāna-cakra)。陰部に存在。水の元素に関係があります。
- 第1チャクラ:ムーラーダーラ・チャクラ(mūlādhāra-cakra)。脊柱の基底にあたる会陰(肛門と性器の間)に存在。地の元素と関係。低次の女神「シャクティ」がとぐろを巻く蛇(クンダリニー)として眠っているとされています。
西洋への導入
さて、19〜20世紀になると、ヨガの考えがさまざまな形で西洋へ導入されます。
体操法
19世紀後半から20世紀前半に、西洋では「身体文化(身体鍛錬運動)」が発達していきますが、この動きが、〈キリスト教を伝道するYMCAやイギリス陸軍によってインドに輸入された〉といわれています。[Wikipedia 現代のハタ・ヨーガ]
じつは、現在、世界中に普及しているヨガは、「アーサナ(ポーズ)」を重視していますが、これは、古代から育まれた「古典ヨーガ」や、中世以降に発展した(本来の)「ハタ・ヨーガ」の直系ではありません。
「伝統」の名のもとに、西洋式体操法を組み込み、現代インドで開発されたヨーガ体操がベースになっているのです。
スピリチュアル運動
7つのチャクラを虹色に関連づけ、「身体論」として描いた先ほどの図は、〈近代神智学のチャールズ・ウェブスター・レッドビータ(1854年 – 1934年)が考案したもの〉で、その後、〈近現代ヨーガ、ニューエイジやスピリチュアル系の思想に取り入れられている〉といいます。[Wikipedia チャクラ]
一方、「ヨギ・ラマチャラカ」を名乗るインド人ヨガ行者は、宇宙にはプラナというエネルギーが充満していると説き、次のように書いています。
真実を云えば、電力と云い、精神力と云い同一物の形式を異にして現われるのであって、決して全然其性質を異にするものではないのである。
Wikipedia プラナ療法
・・・印度哲学上から云えば、一切の精力と勢力はプラナ即ち生力若くは霊気の顕現であって、プラナは宇宙の心意若くは精神より発生するものであると信ずるのである。
—ラマチャラカ、『最新精神療法』 松田卯三郎訳、公報社、大正5年[改行はサイト管理者]
ラマチャラカの著作は、日本では大正期に3冊刊行されているようです。
さて、この行者の本名は、ウィリアム・ウォーカー・アトキンソン(William Walker Atkinson、1862年 – 1932年)。
メリーランド州ボルチモアの生まれで、弁護士、商人、出版社、作家であり、オカルト学者、ニューソート運動の先駆者でした。フリーメイソンにして神智学協会会員でもありました。
このアトキンソンですが、じつは、1906年にシカゴで出版された、元祖『引き寄せの法則』の著者なんです! くわしくは下記記事をご覧ください。
現代ヨガ
現在、世界中で人気を博している「ヨガ」は、独特のポーズ(アーサナ)を練習の中心に据えたフィットネス色の濃いエキササイズで、健康法や、リラクゼーション、ヒーリング効果も狙ったものといえます。
「動的」であることから「ハタ・ヨーガ」の別名を持っていますが、インドの伝統的な「ハタ・ヨーガ」とは、かなり性格が異なる要素を持っています。
しかしながら、現代ヨガの「アーサナ = ポーズ」には、背骨を正しい姿に戻すはたらきがあり、それによって、背骨に沿ったプラーナ(生命エネルギー)の循環が良くなり、自律神経も整ってメンタルがポジティブになっていきます。
つまり、「現代ヨガ」を実践することによっても、「伝統的ヨガ」が目指した「精神統一」に近づくことができる、と私は考えています。
ここでは、現代ヨガの重要なポイントを4点、ご紹介します。
呼吸法
伝統的なハタ・ヨーガでは、生命エネルギーを循環させるための「調気法」(プラーナーヤーマ)を重視しましたが、現代ヨガの「呼吸法」は、自律神経を整えることを主眼にしています。
自律神経のうち、「副交感神経」が活性化しているとき心身はリラックスします。
このとき、脳波はアルファ波になっています。
ヨガスタジオでは、呼吸の長さは「吸う息:吐く息=1:2」になるように意識するよう、くり返し教わります。
なぜかというと、
- 吸う息は、交感神経を活性化させる
- 吐く息は、副交感神経を活性化させる
効果があり、「吐く息」を長く意識するのは、副交感神経を活性化して、気持ちを落ち着かせる(リラックスする)ためです。
また、ヨガでは吸うときにお腹をふくらませる「腹式呼吸」主体に、ゆったりと深い呼吸を行います。
腹式呼吸を行うと、横隔膜を大きく動かすことになります。横隔膜には自律神経が集中しているため、横隔膜を動かすことで、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整えることができるのです。
そのことによって、気分がリラックスするだけでなく、体調改善にもつながります。
ポーズ
伝統的なハタ・ヨーガでは「アーサナ」といいますが、現代ヨガではふつう、「ポーズ」と呼びます。
ポーズの主眼は、3つあります。
- 背骨をしっかり動かして、本来の正しい姿に戻す
- 横隔膜を動かすことで自律神経を整える
- 体幹や筋肉を鍛え、正しい姿勢を作る
1 によって、背骨に沿って並んでいるチャクラを、エネルギーが正しく巡るようになります。そのために、さまざまなポーズをとり、背骨をすべての方向に動かし、その後、正しい位置に戻す動作を行うのです。
2 は、呼吸と連動して自律神経のバランスを整える効果があります。
3 は、フィットネス効果(脂肪燃焼、筋力アップ)に加え、日常生活で正しい姿勢を保てるようになると、気分の安定、ストレス耐性の強化など、メンタル面にもプラスの影響が現れます。
なお、背骨を正しく動かすと、「呼吸の質を高める」効果があります。
ためしに、大きく深呼吸してみると、身体は自然に次の状態になることが分かります。
- 息を吐くとき ⇒ 屈曲(身体を前かがみに丸めること)
- 息を吸うとき ⇒ 伸展(身体を後ろに反らすこと)
これとは逆の動作をしながら、呼吸をしようと思ってもうまくいきません。
つまり、身体を屈曲・伸展させて背骨を動かすことによって、呼吸が大きく・深くなります。ヨガではこれを意識的に行うのです。
瞑想
ヨガスタジオでも、短い時間ながら瞑想を行います。
瞑想には、自律神経のバランスを整えるだけではなく、脳を変化させる効果があることが分かっています。
2001年にマサチューセッツ総合病院のセーラ・ラザー(Sara W.Lazar)は、[中略]8週間かけてマインドフルネス瞑想を行う群と行わない群の脳を MRI でスキャンし比較した。
Wikipedia 瞑想 研究
瞑想の参加者は学習や記憶に関連する海馬の灰白質密度が高まり、不安やストレスに関連する扁桃体の灰白質密度が低下しており、瞑想が脳の自己認識、思いやり、内省といった分野に比較的急速に生理的変化を生じさせる可能性が示された。[改行はサイト管理者]
瞑想を続けることで、ストレスに強くなる、記憶力が向上するなどのメリットが生じます。
マインドフルネス
ヨガでは、ひとつひとつの「呼吸」や「ポーズ」に、そして「瞑想」を行なっているときに、「今・ここに意識を集中すること」を重視します。
これは、まさに、マインドフルネスの実践につながります。
そうすることによって、メンタル面にさまざまなポジティブ効果が現れます。
詳しくは、下記記事をご覧ください。
まとめ
本記事では、リラクセーション・健康に良く、マインドフルネス効果も高いヨガについて、3000年の歴史をたどりながら、「ヨガのポーズ」が生まれた経緯やその意義について紹介してきました。
ヨガのポーズ(アーサナ)は、背骨を正しい姿に戻してくれます。
それによって、背骨に沿ったプラーナ(生命エネルギー)の循環が良くなり、自律神経も整ってメンタルがポジティブになる効果があります。
つまり、現代ヨガを実践することで、伝統的ヨガが目指した「精神統一」に近づくことができるのです。
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