潜在意識の書き換えはなぜ難しいか|抵抗するしくみを「脳の構造」から説明します!

脳科学

引き寄せ、自己実現、成功… その秘訣は、「意識の95%」を占める潜在意識の書き換えにあります。

でも、「潜在意識を書き換える」本やネット情報を読んでも、よく分からないと悩んでいませんか?

実は、「脳の構造」を理解すれば、「無意識が抵抗する」メカニズムが分かり、「潜在意識を書き換える」ヒントがハッキリ見えてきます。

なぜなら、「脳の構造やはたらき」は、脳科学や神経科学などが明らかにしており、その知見は、瞑想、アファーメーション、認知行動療法など「潜在意識の書き換え」の現場で応用されているからです。

この記事では、脳の構造・役割から、「潜在意識」が必然的に「意識」に反発してしまうメカニズムをご紹介します。

記事を読み終えると、「潜在意識書き換え」のヒントが分かり、瞑想やアファーメーションなど「幸運を引き寄せる」みちに、迷わず進んで行けるようになります。

脳の構造・役割|大脳新皮質・大脳辺縁系・小脳

「潜在意識の書き換え」のカギは、「脳の構造」に隠されています。

なぜなら、人間の脳はおおきく3つに分かれてそれぞれの役割を忠実に実行しており、潜在意識がヤル気(顕在意識)に抵抗したり、潜在意識の書き換えが難しかったりするのも、3つの脳のメカニズムによるからです。

実際に、3つの脳の構造・役割について見ていきましょう。

以下の画像を見てください。脳天から首にかけて、一刀両断にバサッと切ったときの脳の縦断面図です。

本記事でいう3つの脳とは、大脳新皮質、大脳辺縁系、小脳です。

  • 第1の脳:大脳新皮質(思考脳)
  • 第2の脳:大脳辺縁系(感情脳)
  • 第3の脳:小脳(無意識)

下の図は、3つの脳の役割を図解化したものです。

下記2冊の本をはじめ、脳科学、心理学の書籍を参考にしながら、私が理解しうる範囲内で作成したオリジナルの図です。

Bitly
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大脳新皮質は「顕在意識」を担います。人間の意識のうち5%程度に相当します。

大脳辺縁系と小脳は「潜在意識」の領域です。人間の意識の95%を占めます。

「潜在意識 subconscious」と「無意識 unconscious」は、同義語として使われることが多いのですが、

  • 「潜在意識 subconscious」は「顕在意識 conscious」の対概念(sub- は「下の」の意)ですが、あくまで「意識」の一種
  • 「無意識 unconscioius」は「潜在意識」の働きのうち、自動プログラミング機能など、文字通り「無・意識」(un- は否定)を表す

といった、原語ニュアンスの違いが歴然としていることから、私は本記事においてこれら2つを使い分けています。

大脳新皮質

第1の脳「大脳新皮質」は思考脳ともいわれ、高等哺乳類(霊長類、イルカなど)に特有の高度な脳です。

外部の情報を感覚器官をとおして取り入れ、知識(学習)、言語・論理・哲学などとして処理します。

情報処理を行うとき、大脳新皮質は、シナプス(神経細胞の突端)同士を結んでいき、神経回路をあらたに作っていきます。

新たにつくられた回路は、脳にとっては「新しい経験」となり、「意識」(顕在意識)として記憶されます(意味記憶といいます)。

大脳新皮質を使って意識をあつかっているとき、私たちは「思考モード」にいます。

大脳辺縁系

第2の脳「大脳辺縁系」は感情脳と呼ばれ、哺乳類が持っている脳です。

大脳新皮質がつくりだした「新しい経験」に即したパターンで神経回路のネットワークが活性化すると、大脳辺縁系はぺプチドという化学物質の生成・放出を始めます。

そしてその化学物質の生成・放出パターンが「新しい感情」となり、「身体」に記憶されます(エピソード記憶といいます)。

エピソード記憶は、意味記憶と異なり、出来事(経験)が起きたときの感情がセットになっています。つまり、意識が知的に学習したことを、身体に教え込んだ記憶といえます。

大脳辺縁系は、ホメオスタシス(生体恒常性:自律神経、内分泌、免疫)にも大きく関わっています。

大脳辺縁系を使い、感情を携えているとき、私たちは「行動モード」にいます。

小脳

第3の脳「小脳」は運動脳と呼ばれ、魚類から哺乳類まで脊椎動物全般に見られる脳です。

空間の中で身体のバランス(平衡感覚)を確保したり、運動を制御したり、身体の動きを統括しています。

小脳はもうひとつのはたらきとして、「無意識を担っている」といわれています。

学習・経験済み(現実体験か脳内体験か、にかかわらず)の情報をダウンロードして「意識と身体」制御のプログラミングを行い、潜在記憶として保存します。

そして、簡単な動作やスキル、習慣、態度、信条などを、「無意識」の「自動モード」で処理しています。

小脳を使い、自動化された脳活動に従っているとき、私たちは「存在モード」にいます。

※「思考モード」「行動モード」「存在モード」は、先ほどの参考書籍の著者ジョー・ディスペンザ氏による表現です。

潜在意識は、意識に反発するクセがある

「潜在意識の書き換え」が難しいのは、潜在意識があなたの考え(意識=顕在意識)と衝突・反発し、あなたの意思を聞き入れようとしないからです。

なぜなら、「顕在意識」と「潜在意識」はセットで、かつ、「相補性」を持つ(互いに補い合いながら、異なるはたらきを受け持つ)ことで、外的環境や外部情報への対応力を上げているからです。

そうすることによって、「顕在意識」の判断が間違っていたり、暴走しそうになったとき、「潜在意識」がブレーキをかけ・冷水を浴びせ・足を引っ張って、個体(あなたや私)が生き延びる確率を上げているというわけです。

潜在意識は、「慣例に従う」ことを優先しているわけですね。

実際に、先ほどの図を見れば分かるように、動物は進化の過程で、脳を「保守的」なものから「先進的」なものへと、変化させてきました。

正確に言うと、「保守的一辺倒」から、「保守・先進の二刀流」へと進化させてきました。

顕在意識:先進的、潜在意識:保守的 ということから「双極的」という表現をつかっています(『運気を磨く 心を浄化する三つの技法』のなかで、田坂さんが述べています)。

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以下、具体的を挙げていきます。「潜在意識」のクセについてです。

ポジティブ思考は、じっさいには難しい

引き寄せ、成功法則、セルフマネジメント、どの本も、「ポジティブ」思考の大切さを強調しています。

でも、「必ず、合格できる!」「絶対、達成できる!」と思えば思うほど、自分に対する疑いの念が生じてしまいます。

「ホントにできるかなぁ」「できないんじゃないか」「できなかったらどうしよう」…などなど。皆さんにも覚えがありますよね?

先ほどの図にもあるように、「意識」と「潜在意識」は「双極的」です。

顕在意識で「ポジティブな思い」をしていても、潜在意識は逆に「ネガティブな思い」を抱いてしまうのです…、残念ながら。

祈りは、通じない

「宝くじが当たりますように」「年収1000万円、達成できますように」「彼女・彼氏ができますように」などの祈りは、まず通じないと思ったほうがいいです。

なぜなら、上に書いたように、潜在意識が自動的に、「当たらない」「達成できない」「できない」と念じてしまうからです。

「思考は現実化…する?」→思考だけだとムリ

世界で1億冊以上売れたという、ナポレオン・ヒル著『思考は現実化する』。

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が、タイトル通り受け取ってはいけません。

大脳新皮質が担う「思考」は、意識のうちの5%の力しかないんです。ぜんぜんパワーとしては足りません。

そして、もっと重要な点は、ポジティブな思考を持っても、潜在意識が必ずといっていいほど、抵抗する、ということです。

それを打ち破る策は「ポジティブ感情」を抱くこと。「思考」と「感情」を同期させればいいんです。

1000万円欲しいなら、「年収1000万円が達成できて、うれしい!」と、先に実現した成果をイメージし、身体全体でワクワク感に浸ればいいんです。

たとえば、コンサルタント企業に転職して年収1000万円獲得した気になって、その会社でじっさいに行っているコンサル業務(ビジネスモデル構築とか、幹部職コーチングとか)を、あなたの知人・友人にやってあげればいいんです。

そうすれば、感謝され、あなたはワクワクしますよね。
あなたも、そのことについて感謝すれば、ワクワクは倍増します。

その結果、予期せぬ方法で1000万円を手にする幸運がやってきます。

ブロンド美女の彼女が欲しいなら、英語でもフランス語でもいいです、SNSで友達をつくり、Google 翻訳を駆使して、会話をはじめればいいです。

やがて、ヴァーチャル・デートに発展する友人ができてきます。ワクワクしますよね。

数ヶ月もすると、思ってもみなかった相手からコンタクトがきたりします。

悪口は、述語が返ってきてしまう

「あいつは、駄目な奴だ」「あの人は、かならず、失敗する」など、他人に対する悪口は、潜在意識の世界では、「主語」の部分が消え、「駄目な奴」「失敗する」といった「述語」の部分が、あなたに返ってきます。

「主語+述語」は文法です。文法(言語・論理)は大脳新皮質が担っています。(図参照)

そのコトバを発したときの大脳新皮質の神経回路を、大脳辺縁系がキャッチしますが、そこでは文法を処理できません。

その結果、感情に関係のあるコトバ、「駄目な奴」「失敗する」だけが、あなたのもとで現実化してしまいます。

日常的なネガティブ言葉が、いちばん怖い

悪口以上に怖いのは、日常的にあなたが何気なく発するネガティブ言葉。

「ダメだ」「つまらない」「めんどくさい」「ムリだ」「意味ない」… あなたは一日に何回、このようなコトバを発していますか(笑)?

「何気ない」というのは、「思考も感情も」伴っていない、ということ。

なので、大脳新皮質、大脳辺縁系よりもっと深い、ディープな「無意識」の領域にはいってしまいます…

そして、ダメな、つまらない、めんどくさい、ムリな、意味ない「あなた」が実現してしまいます。怖いですね…

なので、こうしたコトバは、使わないようにしましょう。

ここで、幸運の実現、つまり「引き寄せ」について触れましたが、詳しくは、下記記事をご覧ください。

まとめ

本記事では、「潜在意識の書き換えが難しい」理由を、

  • 脳の構造・役割
  • 潜在意識が意識に反発するクセ

の観点から紹介してきました。

「潜在意識を書き換える」ことの留意点が分かれば、対応を講じるのはむずかしくありません。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。

「幸運を引き寄せる」実践に、進んで行けるようになります。

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