心理学の資格を取りたいけど、どれがいいのか分からない、と悩んでいませんか?
実は、国家資格の「キャリアコンサルタント」と、民間資格の「メンタルケア心理士」の組合せがベストです。
なぜなら、「キャリアコンサルタント」は国家資格なのに難易度は高くなく(合格率50%超)、「メンタルケア心理士」は民間資格のなかでも「公的学会認定資格」になっており、2つの組み合わせで「バリューのある肩書き」ができるからです。
この記事では、100以上ある心理学資格の種類・特徴を説明しつつ、取得しやすく、かつ、心理学系ビジネスで「バリューのある肩書き」をつくるためのおすすめ資格について詳しくご紹介します。
記事を読み終えると、皆さんが目指すカウンセリング、コンサルティング、コーチングにとって「ベストな資格の組み合わせ」を選べるようになります。
心理学関係の資格
心理学資格のリスト
カウンセリング、コンサルティング、コーチングの仕事をしている、または、これからしようとしているのであれば、心理学関係の資格を取りたい、と考えているひとは多いのではないでしょうか。
資格の全容をとりあえず見渡すには、Wikipedia「日本の心理学に関する資格一覧」が便利です。
でもこのリスト、ざっと見た限り、100はゆうに超える資格が並んでいて、自分に何が合っているか、何を選んだらいいのか、誰でも迷ってしまうと思います。
そこで、本稿では、つぎのような「読者ターゲット」を想定して、有望資格を紹介していきます。
- 心理学関係の大学院・大学の「修了・卒業・就学中」ではない
- カウンセリング、コンサルティング、コーチングのビジネスの「肩書き」がほしい
心理学資格の分類
上記「一覧」のうち、「本稿読者ターゲット」を前提に、以下は除外します。
どの業界でもそうですが、資格には、「国家資格」と「民間資格」があります。
また、「学歴制限のあり・なし」、「臨床実務訓練が必須・不要」が関係してきます。
なので、心理学資格は、大きく分けて、次の5分類になります。
- 国家資格(学歴制限あり):公認心理師 のみ
- 国家資格(学歴制限なし):キャリアコンサルタント のみ
- 民間資格(学歴制限あり・臨床実務訓練が必須):臨床心理士、学校心理士、臨床発達心理士、ガイダンスカウンセラー
- 民間資格(学歴制限あり・臨床実務訓練が不要):認定心理士、産業カウンセラー
- 民間資格(学歴制限なし・臨床実務訓練が不要):多数
取得できる資格は
本稿の読者は、下記の状況にあるとします(再掲)。
- 心理学関係の大学院・大学の「卒業・就学中」ではない
- カウンセリング、コンサルティング、コーチングのビジネスの「肩書き」がほしい
すると、上記のうち「1. 国家資格(学歴制限あり)」は、まず対象外になりますね。
また、「3. 民間資格(学歴制限あり・臨床実務訓練が必須)」も、対象外でしょう。
したがって、次の3つが取得できる資格の候補として残ります。
- 2. 国家資格(学歴制限なし):キャリアコンサルタント
- 4. 民間資格(学歴制限あり・臨床実務訓練が不要):認定心理士、産業カウンセラー
- 5. 民間資格(学歴制限なし・臨床実務訓練が不要):多数
おすすめの心理学資格
ビジネスをするうえでバリューがありそうな資格は、下記5つ(4講座)です。
国家資格は[国]、民間資格は[民]のマークを付けました。
民間資格については、心理カウンセラーの資格難易度ランキングを参考に、【難易度A】〜【難易度D】をつけています。
[国]キャリアコンサルタント
従来、「キャリアカウンセラー」と呼ばれていた資格ですが、職業能力開発促進法の改正で、2016年4月から「国家資格」になりました。
就職支援などの分野でバリューを発揮することは間違いないでしょう。
受験資格は、下記2つなど、4条件のうちいずれかを満たせばOKです。[受験概要 より]
民間の養成講座の期間・費用は、約3ヶ月・約300,000円〜約6ヶ月・約440,000円となっています。(厚生労働省の教育訓練給付制度で、学費の最大70%が戻ります)
試験は、カウンセリング技法・発達などの心理学の知識が問われ、学科試験(四肢択一のマークシート)、実技試験(キャリアコンサルティングのロールプレイ)があります(受験概要)。
学科、実技の過去3回分の試験問題も公開されています。
この国家試験は、『キャリアコンサルティング協議会(CCC)』『日本キャリア開発協会(JCDA)』2つの団体(登録試験機関)が実施しており、毎年の合格率は50%を超えているので、それほど難しい試験ではないことが分かります。
[民]認定心理士【難易度B】
認定心理士資格は、「公益社団法人日本心理学会」が認定する資格です。
—————–注意—————–
「臨床心理士」という有名な資格がありますが、混同しないでください。民間資格でありながら、こちらは、バリバリの専門職を目指すプロフェッショナル資格【難易度A】です。
臨床心理士の〈就業場所の割合を領域別でみると、「医療・保健領域」が最も多く41.9%、次いで「教育領域」が36%、「大学・研究所領域」が25.3%という結果〉になっています。[臨床心理士の働く場所]
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ここで紹介するのは、「認定心理士」です。
なお、この資格には、「試験」がありません。
所定の36単位を修得し、日本心理学会あてに「申請」を行い、「審査」に合格すれば、認定料を支払ったのち、認定されます。
職業に直結する資格ではないですが、かなりの勉強量が必要となるもので、「私は心理学を専攻した」と公言できるようになるため、民間資格のうちではビジネスバリューがあると考えていいでしょう。
資格取得の条件(申請の条件)は、以下2つです。
- 大学(大学院)を卒業(修了)し、学士(修士)の学位を取得していること(学部・学科は不問。心理学以外でもOK)
- 大学(大学院)で所定の36単位以上を修得していること
認定心理士を取得できる通信制大学を徹底比較【2020年最新版】というサイトによると、認定心理士取得までに必要な学費(概算)は、たとえば、次のようになります。
- 放送大学:3年次編入 35万3,000円
- 武蔵野大学 通信教育部:4年次編入 23万円~
放送大学の場合、次のようなことができるようです。
既に学士をもっていて全科履修の編入卒(教養の学位の取得)をしない場合には、全科履修or選科(1年)履修or科目(半年)履修のいずれでもよく、最低限の授業料で済ませるならば
申請までにかかる費用と審査料
1単位あたり5,500円×36(必要単位)=198,000円+入学金で222,000円となるようです。
心理学会の納入と併せると263,000円ですね。
勿論この場合、理論上は「半年or1年で必要科目をとる」ということも可能です。[改行はサイト管理者]
[民]メンタルケア心理士【難易度C】
「メンタルケア心理士®」は、「メンタルケア学術学会」、「生涯学習開発財団」、「一般財団法人 ヘルスケア産業推進財団」の3団体から認定される民間資格です。
なお、メンタルケア学術学会は、「日本学術会議」から指定を受けている学術研究団体(公的学会)です。
メンタルケア学術学会が「日本学術会議協力学術団体」に指定されたことによって、「メンタルケア心理士®」は「公的学会認定資格」として位置づけられています。
この資格の対応領域と学習領域は下記のとおりです。
通信講座の受講期間・費用は、約4ヶ月・44,000円〜 となっています。
[民]メンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラー【難易度D】
「JADP認定メンタル心理カウンセラー®」、および、その上位資格「上級心理カウンセラー」は、一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)が認定する資格です。
協会指定の認定教育機関等が行う教育訓練において、その全カリキュラムを修了すると、随時、在宅で受験が可能です。
2つの資格を同時に取るW資格取得講座の受講期間・費用は、約2ヶ月〜4ヶ月・45,000円となっています。
心理学部大学院からカリキュラムを厳選し、交流分析、論理療法、認知療法、認知行動療法、フォーカシング、内観療法、リューション・フォーカスト・アプローチ、芸術療法の8つの心理療法を4ヶ月で習得します。
開業支援サービスとして、ホームページ作成支援(有料)のオプションもあります。
メソッド別の民間資格
民間資格には、ほかに、メソッド別(療法別)の資格があります。
[民]NLPプラクティショナー、NLPマスタープラクティショナー
NLPとは、Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)の略で、人間心理とコミュニケーションに関するさまざまな領域(セラピー、カウンセリング、ビジネス、教育、家庭、育児、医療など)に活用されています。
1970年に、リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが、心理学と言語学の観点から体系化したものです。
「NLPプラクティショナー認定コース」の費用は、340,000円です。
本コースを受講すると、「全米NLP協会」 「日本NLP協会」に加え、カナダ Success Strateties 社/シェリー・ローズ・シャーベイ認定「LABプロファイル® プラクティショナー」の認定資格も取得できます。(オンライン講座が無料。認定証書の発行費用は、別途4.700円)
また、上位資格の「NLPマスタープラクティショナー認定コース」と併せて、2コース同時受講の場合は、670,000円です。
参考:日本NLP協会
[民]マインドフルネスの講座
日本でのマインドフルネス普及のために設立された「インターナショナルマインドフルネスセンタージャパン(International Mindfulness Center Japan: IMCJ)」が、各種講座を開催しています。
マインドフルネスストレス低減法(MBSR / Mindfulness Based Stress Reduction)オンライン 8 Week
8週間にわたる、マインドフルネスの集中トレーニングです。
受講料は、80,000円です。
マインドフルネス認知療法(MBCT / Mindfulness Based Cognitive Therapy)MBCT for Life8週間コース
週1回の集合クラスと、毎日の個人練習によって構成される、8週間のプログラム。
8週間をかけて、ストレスに対する自分自身の向き合い方のトレーニングを行います。
受講料は、80,000円です。
マインドフルネスストレス低減法講師養成
「MBSR講師(マインドフルネスストレス低減法講師)」の養成コース。
第1期(2020年4月募集開始)の費用は、1,206,000円となっています。
参考:MBSR 講師養成
[民]ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)のワークショップ
「ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」の専門団体である ACT Japan:The Japanese Association for Contextual Behavioral Science が、ワークショップを開催しています。
非会員の場合、参加費は3,000円となっています。
また、ACT Japan のサイトには、さまざまなツールの紹介もあります。
[民]認知行動療法士
認知行動療法を修得し、日本推進カウンセラー協会認定の「心理カウンセラー」と「メンタルトレーナ」の2つの資格を取得する「プロフェッショナルコース」(費用298,000円)を修了すると、「認知行動療法士」の養成講座(費用148,000円)を受講できます。
試験に合格すると、「認知行動療法士」の資格を取得できます。
カリキュラムは、以下のとおりです。
1.認知療法・認知行動療法の歴史について
認知行動療法士養成講座 カリキュラム
2.認知行動療法の理論
3.認知行動療法の実践
①悩みの状況など
②心理教育(認知行動療法とは、悩みとは)
③目標の設定
④ホームワークの設定(クライエントの活性化)
⑤3つのコラム(気分・自動思考の同定)
⑥5つの公式を活用したバランス思考の作成
⑦7つのコラム
⑧スキーマの同定
⑨終結
結論:最強の資格の組み合わせ
基本型
前提として、
- 心理学関係の大学院・大学の「修了・卒業・就学中」ではない
- カウンセリング、コンサルティング、コーチングのビジネスの「肩書き」がほしい
ということであれば、ズバリ、
- 国家資格の「キャリアコンサルタント」
- 民間資格の「メンタルケア心理士」(公的学会認定資格)
の組み合わせがベストです。
肩書きのバリューというのは、どの業界でもそうですが、国家資格がメインにあるのが基本。ほかに、関連資格(民間資格)がいくつかあれば、幅と奥行きが出てきます。
また、この2つは、取得コストもリーズナブル。講座受講の必要期間・費用は、
「キャリアコンサルタント」は、約3ヶ月・約300,000円〜約6ヶ月・約440,000円(厚生労働省の教育訓練給付制度で、学費の最大70%が戻ります)
「メンタルケア心理士」は、約4ヶ月・44,000円(割引期間中の価格)です。
即効型
すぐに何らかの肩書きがほしい、という場合は、民間資格の
- 「JADP認定メンタル心理カウンセラー®」
- 「上級心理カウンセラー」
のW資格取得がいいでしょう。受講期間・費用は、約2ヶ月〜4ヶ月・45,000円です。
発展型
そして、長期戦の構えがあり、かつ、予算も掛けられるひとは、これらに加えて、
- 「認定心理士」:放送大学などに編入して心理学系の単位をとった後に取得
- 「NLPプラクティショナー」など、注目度の高い資格を追加取得
などの方法で、さらなるバリューアップができます。
分野複合
さらに… ほかに国家資格や検定、民間資格を持っているのであれば、それらとの組み合わせで、カウンセリングやコンサルティングに圧倒的な差別化ができます。
たとえば、
- 一級建築士:居住環境とメンタルヘルス
- 介護福祉士:要介護者のご家族に対するメンタルケアやアドバイス
- 労働衛生コンサルタントや労働安全コンサルタント:キャリアコンサルティングと組み合わせて雇用側へのコンサル、アドバイス
- 宅地建物取引士、理容師、美容師など、対面接客関連:顧客心理に応用してコミュニケーションスキルアップ、契約・リピートを獲得
- 保育士:児童心理学を応用したカリキュラムづくり、児童や保護者に対するメンタルケア
- TOEIC、英検、仏検など語学検定:帰国子女やバイリンガル幼児教育にかかわるメンタルケア
- アロマテラピー検定:嗅覚を活用したリラクゼーションやマインドフルネス
- ヨガインストラクター:呼吸と自律神経を整えるマインドフルネス
- 音楽や美術のプロ・愛好者:アートセラピー、ヒーリング、メディテーション
などなど。
心理学は人間のこころにかかわるスキル・ノウハウなので、どんな職業やアクティビティとも結びつけることが可能です!
この方法であれば、最難関資格の「公認心理師」「臨床心理士」、あるいは「医師」が競合であっても、マーケティング、集客の工夫次第で、互角以上に戦えます。
まとめ
本記事では、ビジネスに役立つ「心理学の資格」について紹介してきました。
カウンセリング、コンサルティング、コーチングなどのビジネスを展開していくうえで、心理学資格は、肩書きにバリューを与えてくれるものです。
もちろん、肩書きだけでなく、学んだスキルやノウハウを、クライアントさんの幸せのために役立てていくのが、本来の目的となります。
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